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新花巻駅から宮沢賢治「イーハトーブ」の世界へ

岩手県花巻市にある新花巻駅は、1985年に開業した駅です。東北新幹線の盛岡と北上の間に位置しており、在来線では釜石線に連絡しています。釜石線は花巻駅から新花巻駅、民話の里:遠野駅を経由し、かつて製鉄で栄えた釜石まで延びています。
元々は、宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」のモデルとされていた「岩手軽便鉄道」が走っていたため、愛称は「銀河ドリームライン」です。東日本大震災後、被災地応援のために「SL銀河」が運行したことでも知られる釜石線ですが、客車が老朽化したことを理由に、2023年残念ながらSLは引退し、現在は通常の列車のみ運行しています。

新花巻駅に停車する新幹線は、大きく分けると東北・北海道新幹線「はやぶさ」と東北新幹線「やまびこ」になります。
「はやぶさ」には、そもそも自由席の設定がありませんので、必ず座席の予約が必要です。
一方「やまびこ」は、自由席が設定されていますので予約無しでも自由席を利用して乗車できます。しかし繁忙期になると、始発駅から乗車しても自由席が満席で座れないというケースが多々あります。


新幹線は駅間が長く、また途中下車するお客さんが少ない場合もありますので、最初に座れなければ立ちっぱなしという可能性もありますので、できるだけ座席は予約しておくことをオススメします。
なお、新花巻駅は通過する新幹線が意外と多いため、ホームに居ると風圧や音で怖い思いをする場合があります。特にお子様連れの場合などは、ギリギリにホームへ出たほうが安心かもしれません。

駅としては、売店や食堂など最低限の設備がある小規模なものですが、新花巻駅は花巻観光の拠点です。
駅レンタカーをはじめとした各社レンタカーの営業窓口もありますので、新幹線で来てタイムロスなく周辺観光へ出かけたい場合は、レンタカーも事前に予約しておくと良いでしょう。
もちろん、予約不要なバスも通っていますし、主要な観光地であればバスでも十分楽しめます。
ただし、いつでもバスや電車があるような駅ではありませんので、ある程度下調べしてからお出かけした方が安心です。

宮沢賢治の描く世界「イーハトーブ」をのんびり楽しむ

花巻市のコミュニティバス「土沢線」に揺られて5分ほど、「宮沢賢治記念館口」で降りると、「宮沢賢治童話村」があります。
ここは、子どもでもすんなりとその世界に入り込めるような「楽習(がくしゅう)」施設で、楽しみながら宮沢賢治が描いた世界を学び、体感できる場所になっています。

まずは入口「銀河ステーション」を抜けると、広い敷地の中に様々な建物が見えてきますよ。

「賢治の学校」は、とてもフォトジェニックで、SNS映えする写真が撮れると評判で、大人にも人気のエリアです。
宇宙・天空・大地・水の部屋に分かれており、それぞれに賢治の作品で描かれている世界を連想させるオブジェや、映像などが用意されています。
宮沢賢治の作品を未読でも楽しめますし、詳しい方なら、いったいどの作品をモチーフにしているのか気になったり、あるいは作品を読みたくなってくるような展示です。


賢治の教室は、ログハウスが連なっていて、それぞれの家に「植物」「動物」「星」「鳥」「石」をテーマにした展示があります。
宮沢賢治の作品に登場するものの実物や模型などが展示されており、賢治がこの地で暮らし、生活に根ざした詩や童話を創造していたのだと感じられます。
お天気がよければ、しばらく屋外でのんびり過ごしたくなるような居心地良い空間です。

童話村と国道を挟んで向かい側には「宮沢賢治記念館」があります。
実はこちら、367段というなかなかに長い階段がありますので、ご注意ください。
ここでは、宮沢賢治直筆の原稿や愛用品などゆかりの品が展示されています。
文学者としての賢治だけではなく、教育や農業科学と幅広い分野で活動してきた賢治を感じることができる場所になっています。

こちらの屋外にある「ポランの広場」には、賢治が遺した設計書を元に再現した「南斜花壇」や「日時計花壇」があります。
こうした設計もできたという、賢治の多才ぶりに驚かされますし、図面から実物へと再現させる花巻の方々が、賢治へ向けた愛情が感じられます。

記念館に隣接しているのは「宮沢賢治イーハトーブ館」です。
「イーハトーブ」とは、宮沢賢治の造語で「理想郷」を意味しています。
宮沢賢治の精神や描いた世界を探究することを目的とした「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」の拠点でもあり、賢治の作品についての展示だけでなく、宮沢賢治セミナーなどの学びの場も提供されています。
宮沢賢治についてより深く知りたい方、作品を愛読している方にはオススメの場所です。

ここからほど近いところにある、教会風の建物が「WILDCAT HOUSE 山猫軒」。
この店名にピンとくる方も、きっといるでしょう。
宮沢賢治の代表作「注文の多い料理店」にちなんで名付けられた、こちらのレストランでは、地元岩手の豊富な食材を使用した定食やお子様も食べやすいメニューなど、ご家族で美味しく楽しく食べられるお店です。

ここまでご紹介した施設は、比較的近くで固まっていますので、バス利用でも十分楽しむことができます。

もっと宮沢賢治ゆかりの地を回りたいという方には、やはり動きやすいレンタカーの利用をオススメします。

農民たちを集めて、農業技術などを講義した「羅須地人協会」や、イギリス・ドーバー海峡に面した白亜の海岸を連想させると賢治が表現した川岸「イギリス海岸」、賢治自らが耕作していた「下ノ畑」など、実際にこの地に賢治が生きて暮らしていたことを感じさせる場所が、今でもたくさん残っていますよ。

こうした宮沢賢治ゆかりの地を巡るのに、便利な予約制観光タクシー「どんぐりとやまねこ号」も運行しています。
賢治に関する施設だけでなく、新渡戸稲造や高村光太郎の記念館、坂上田村麿呂が勧請したとされる清水寺、南部杜氏伝承館などにも立ち寄ることができます。
新しいものとしては、花巻東高校出身選手のMLBオールスターゲーム選出記念モニュメントもコースに設定されていますよ。
こちらのタクシーを利用すると、新旧様々な花巻の観光名所をスムーズに楽しむことができます。
ご利用日の3日前までの予約が必要とはなりますが、レンタカーを予約して自分で運転するのは難しい方や、花巻の色々なスポットを効率よく見学したい方にはオススメです。

午前コースと午後コース、更には1日いっぱい観光するコースも用意されています。
午後コースや1日観光コースでは、新花巻駅西口を経由して花巻駅や花巻温泉にも行けるので、乗り換えたりせずに宿まで行けるのはとても便利で有り難いですね。
コース設定や運行・滞在時間などが、季節で変わっていきますので、花巻の旅HPで最新の情報を確認の上でご予約ください。

温泉郷で心身ともにのんびりとしたひとときを

花巻市内には、「花巻12湯(じゅうにとう)」と呼ばれるほど、多くの温泉が湧いています。
12湯とは、花巻・台・金矢・松倉・志戸平・渡り・大沢・山の神・鉛・新鉛・花巻北・東和の各温泉を指します。
これら全てをまとめて「花巻温泉郷」と称しているのです。
それぞれ効能はもちろん、温泉街や宿の佇まいなどに様々な特色があります。
大型のホテルや。こぢんまりとした温泉宿、中には昔ながらの湯治客向けの宿などもあります。
ぜひご自分に会った好みの温泉を探してみてください。

新花巻駅を拠点に、宮沢賢治が求めた理想郷・イーハトーブを感じながら温泉を楽しんだり、民話の里・遠野まで足を伸ばして河童を探してみたりするのも楽しいでしょう。

東京駅から東北新幹線やまびこで3時間、日本の原風景とも言える景色と空気感を楽しめる花巻へ、新幹線で出かけてみませんか?

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