岩手県盛岡市にある盛岡駅は、1982年の東北新幹線開業当初、最北の駅でした。
盛岡駅から青森県八戸駅まで延伸するには、更に20年もの時間がかかり、それまでは首都圏から新幹線で盛岡まで出て、そこからは在来線などを利用して北東北へ出かけていたのです。
そのため、盛岡駅は現在でも多くの鉄道路線の接続駅となっています。
秋田新幹線「こまち」は、東京駅から盛岡駅まで東北新幹線「はやぶさ」と連結して運行されます。
盛岡駅で切り離しが行われ、秋田新幹線として単独で秋田駅へ向かいます。
逆に秋田駅から東京へ向かう時には、盛岡駅で「はやぶさ」に連結します。
新幹線同士が連結したり、切り離したりするのは、秋田新幹線と山形新幹線くらいですので、ホームで固唾を飲んで様子を見守る鉄道ファンや親子連れが多く見られるのも、盛岡駅の特徴かもしれません。
また、JR線は3路線が接続しています。
東北本線は、東北新幹線が開業してもそのまま残っており、盛岡から花巻空港や平泉など東京方面へ繋がっています。
田沢湖線は秋田県大曲駅まで、秋田新幹線と同じ線路を使用している珍しい路線です。
山田線は、遠く三陸海岸の宮古まで繋がっています。
いわて銀河鉄道(IGR)は、かつての東北本線の盛岡以北の部分が、東北新幹線の延伸により私鉄となったものです。
岩手県内(目時駅)まではIGRとして運行し、そこから青森駅までは「青い森鉄道」として繋がっていきます。
このように、盛岡駅は最北端の駅こそ返上したものの、現在も北東北各地へと動くための拠点駅として、とても重要な駅になっています。
首都圏から盛岡駅へ向かうのであれば、例えば往路は東北新幹線「はやぶさ」、復路は秋田新幹線「こまち」を予約して、それぞれ車内の違いなどを探してみるのも面白いでしょう。
なお、東北・秋田新幹線は完全予約制になっていますので、週末や連休にお出かけの際には、早めに予約した方が確実です。
またベビーカーや大型のスーツケースを利用される場合は、各車両の一番うしろの席だと空きスペースに置けるので、その席を確実に予約しておくと安心です。
盛岡駅の駅ビルは、「フェザン」といい、なかなかに複雑な構造をしています。
初めて入ると、ちょっと迷子になってしまいそうです。
盛岡駅そのものに入っているのは、フェザンの「おでんせ館」。
「おでんせ」とは南部弁で「おこしください」という意味で、その名の通り観光客向けのお土産物や旅行グッズなどの販売、食事処がメインになっています。
逆に本館は、ファッションビルといった雰囲気で、地元の方もよく訪れる場所です。
そして、盛岡駅とフェザンの両方に直結しているのが、ホテルメトロポリタン盛岡です。
駅直結のホテルは、やはり人気なので、こちらも早めの予約がオススメです。
盛岡市材木町で出逢う「手しごと」と盛岡観光
盛岡駅東口を出て徒歩10分ほど、北上川に架かる旭橋を越えたところにあるのが、材木町です。
創業者が宮沢賢治と先輩後輩の間柄だったことから、「注文の多い料理店」を発刊したことで知られる「光原社」があるのが、このエリアです。

光原社ではその後、鉄器や染色、版画や民芸など多くの作家や研究者と繋がっていくことで、様々な手仕事の作品紹介や商品販売をするようになりました。
本店だけでなく、食品を扱うモーリオ、宮沢賢治の直筆原稿などを展示するマヂエル館、カフェ可否館など、風情ある建物が散在しており、通り沿いには宮沢賢治の像もあるので、ゆっくりと散策するのが楽しい場所です。
また、例年4月から11月にかけて、毎週土曜日15:10から路上市「よ市」が開催されます。
周辺の店舗だけでなく、様々な農産物や手工芸品など多彩な店舗が並びますので、この日を狙ってお出かけすると、手しごとを楽しむ作家さんとの交流もできそうです。
近年、海外からの観光客にとても人気がある盛岡は、古き良きものを大切にしながらも利便性の高い街となっています。
そんな盛岡市内を走る循環バスが「でんでんむし」です。
こちらは予約不要で、盛岡市内の観光名所を巡ることができます。
盛岡駅から徒歩ではちょっと厳しいエリアまで出かける時には、有り難いバスです。
また、予約しなくても良いので、思いつきで乗車できるのも助かります。
こちらの「でんでんむし」に乗ってぜひ立ち寄ってほしいのは「石割桜」です。
盛岡駅から「でんでんむし(右回り)」に乗車し、バス停番号7「中央通一丁目」下車、徒歩3分ほどで盛岡地方裁判所があり、その前庭に「石割桜」が立っています。
巨大な花崗岩の割れ目に生育した桜は、開花のシーズンはもちろんのこと、それ以外の時期でも強い生命力を感じさせられると人気です。
このあたりからは、見どころが近距離に集まっているので、少し徒歩で巡ってみるのはいかがでしょう。
重厚な存在感ある建物として人気の「岩手県公会堂」や、与の字橋を越えた先にある「紺屋町番屋」。
写真撮影する人が絶えない「岩手銀行赤レンガ館」から、中津川の川べりで涼んだり、中の橋を越えて「盛岡城址公園」に向かうといったお散歩も楽しめます。
歴史を感じさせるスポットや自然あふれる場所があるのも、盛岡の魅力と言えるでしょう。
盛岡駅へ戻るには、また「でんでんむし」に乗ることもできます。予約不要のバスなので、時間を気にせずに散策できますから、徒歩とバスを組み合わせてゆっくりと盛岡市街地での観光ができます。

小岩井農場で過ごす豊かな時間
真冬以外のシーズンに盛岡まで旅するならば、小岩井農場まで足を延ばしてみるのはいかがでしょう。
岩手県外にお住まいの方でも、乳飲料などで「小岩井」の名前を見かけることがあるのではないでしょうか。
美味しい牛乳ブランドとして知られているかもしれませんが、小岩井農場は自然と共存しながら、新しい挑戦を続けてきた、岩手が誇る企業でもあります。
農場と聞くと、子どもが様々な野外体験ができる場所だと思われそうですが、大人にとっても資料館で学んだり、アーチェリーやファームカート体験など、意外と楽しめるものがある農場です。
広い敷地の中で過ごす時間は、心身ともにのびのびとできる、贅沢な時間になることでしょう。
また、ここまで来たらぜひ立ち寄りたいのが「小岩井農場の一本桜」です。
岩手山をバックに堂々と立つその姿は、桜のシーズン以外でも見ごたえある雄大な風景です。
盛岡駅から小岩井農場までは予約不要の路線バスも運行していますが、できれば車で出かけたいところです。
盛岡駅にはレンタカー各社が営業所を置いていますので、盛岡旅行を予約する際には、レンタカーも予約しておくと安心です。
新幹線を使って、盛岡駅を拠点に、手しごとや自然に触れる、ゆっくりとした時間を楽しんでみるのはいかがでしょう。
